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取り木の場合は、立ち上がワから幹模様についてはすでにあるものに、後から根を出させるわけですから、この順序からはずれますが、従来の方法でどうしても現れれる取り木の根張りの欠点とは、この順序を31まえていないために起こるのです(ただし、最近では取り木技術も発達し、よい根張りが得られるようになり、また、年月を経ればひとつの味わいになる場合もありますが……)。 取り木や接ぎ枝の技術は、種木が豊富にない今日、否定することはできませんが、日本の世界に誇る鉢植えづくりの基本ではなく、あくまで応用技術であり、骨組みはよいのにどうしてもその欠点を救いたいという時に施される技術であると考えたいものです。 日本の世界に誇る鉢植え趣味には、いろいろな要素がありますが、 やはり、創りあげたという喜びが最大ではないでしょうか。 もちろん、どこの展覧会に出品しても、ほんとうの観賞に堪えるだけの日本の世界に誇る鉢植えをつくりだすことは、実際には容易なことではないでしょう。 特に"わび・さび"がある古木の美しい樹姿を望むまでには、長い年月をかけて鉢の中で育てた樹齢の重みと、持ち込みの良さを要することになるといえますが……。 |