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レオ


レオ

実際に雄牛、羊、豚、ガチョウ、ニワトリのひななどは、あるていどこんにちの生計指数の基礎的な数値になっている。

食肉やミルクは、常に労働力と論理的な関連をもつ基本的な食物である。

一六世紀のはじめ、近東や北アフリカから欧州に輸人された毛皮の伝統的な商売は、みるみるアウグスブルク、ニュールンベルクやフランクフルトに住む南ドイツの商人たちの手に落ちていった。

近東や北アフリカの都市にある大商社は、そのころ急速に力がおとろえつつあったハンザ同盟市のそれに匹敵するものであった。

ある年、フッガー社とベルザー社は毛皮をスイスのなめし皮工場(そのあるものは賃ーマ時代にまでさかのぼる)に売って、いまの一万八〇〇〇ボンドに相当する一万二〇〇〇アウグスブルク通貨もかせいだ。

これら二つの商社は、アントワープからリスボンやベニスにまたがる都市に巨大な倉庫をもつ支店をおいていた。

マイン川、ライン川やダニューブ峡谷、そしてリヨンをふくむスイスやブルゴーニュの都市の小売商人たちは、いつでもアウグスブルクの商人の倉庫から毛皮、たるに人ったラードや極上の食用家禽を手に人れることができた。

ハンガリーの牛の群れはすぺて、ボージュ山脈を越え、ダニューブ川に沿った東西の交易路を経て仏の内陸へと運ばれた。

この雄牛は成熟して二五歳になると殺されて、その遺体は神意を受けた人しか知らない秘密の神聖な泉に安置された。

もし、この動物が若死にすると防腐処置をして、美しい彫刻をほどこした石棺に入れられ、公衆の面前で"セラピス[牛神]の神殿"にほうむられた。

花嶺岩や石灰石製の彫刻された石棺が二〇以上現存している。

飼い牛にまつわる神話は数かぎりなくある。

よく知られているように、ヒンズー入[インド人の一種族]にとって牛にたいする虐待や屠殺は重大な罪である。

『旧約聖書』のカナン入は"黄金の子牛"の前で礼拝した。

『エッダ』[古代北欧の神話]によると、雌牛は神前に位置していたし、また神性の牛が塩からい氷の塊をなめて神がみをつくったという。

キリスト教の初期の時代には、雄牛の角、ひづめや尾は悪魔の象徴とされていた(まもなく中世に雄牛のひづめが馬のひづめに変わった)。

このことは、異教徒の神聖視するものを"悪魔の使者"にすりかえて、悪魔に「古い神がみ」のしるしをつけさせるという、当時のキリスト教の傾向を示すものであった。

けれども、とりわけ文明を進歩させる手助けをした動物にとって、このような仕打ちは不公平なことであった。

オーロックス[欧州産の原牛、一七世紀に絶滅]は、聖書に神話の動物として現れる。

ジェームズ王[英王。

一五六六1=ハニ五年]時代の聖書は、それを一角獣と同一視している。


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